SURPRISE
線路と県道が寄り添うように平行線を描きながら抜ける、その場所に彼等の自宅がある。
自宅前の県道を挟んで、小さな改札のある長いホームは、線路と県道が、しっかりと均等な幅を保ちながら伸びている事をまるで示す為にそこにあるようにも思える。
自宅、倉庫、作業場を兼ね備えた、その場所は周りからも目を引く一段高くなった造りになっていて、表の通りからは、いつも群青色のオートバイが二台並んで見える。
凸凹の形状のタイヤから、それがモトクロスのオートバイである事は誰の目にも明らかで、
常にピカピカに磨き上げられていてる車体からは、彼等が注いでいる愛情の深さを容易に感じとる事ができる。
いつもの通勤路にそれはあって、前を通る度に自然と右足のアクセルを緩めてしまうのも、いつしか日課ような自分自身の癖になっていた。
彼等は、もちろんそんな事を何も知る余地もなく、毎日のようにオートバイの調整を行い、週末にはコースへ出向く。
そんな習慣にも似た昆虫のような規律正しい動きを、ただ繰り返し行っているだけに過ぎないのだ。
出会いは、突然訪れた。
お客さんとオートバイの話で盛り上がり話込んでいると、その中に共通の『 点 』が多く存在する事にお互いが気付き、
それはやがて『 線 』となり繋がり、そして大きなひとつの輪になった。
仕事とは離れた所で毎日繰り返し行われる営みのようになっていた『 癖 』の正体が突如、目の前に姿を現した。
この出会いを機にそんな彼等を応援していきたいと思います。


